私の父は2017年10月、膀胱ガンと前立腺ガンと診断されました。
ステージ2の転移なしで大した事ないと思っていたところ、病院の医師からは膀胱全摘出と言われました。
数年前から父はたくさんの医療に関する本、人生の最後についての本を読み、自分にもしもの事があったらどうするかを考えていたようでした。
私からしたら父はそっくりな顔をくれた人。
学校を出してくれた人。
食べさせてくれた人。
父が大好きだったわけでもなく、どっちかと言えば嫌いな方だったけど大人になって普通の会話はできるようになりました。
もう70歳を過ぎている父は、子供の為に人生を捧げてきた人かといえば子供の私から見てもそうではありません。
どちらかと言うと友達との時間、自分の時間、仕事に時間を割いた人でした。
団塊の世代ですから。
たくさんの本を読んで勉強していた父は、膀胱全摘出手術を断固拒否し病院にも通わなくなりました。
ある日、父がトイレに行くとポロッと5mmくらいの石のような物が出てきたとの事。
その後気になり病院に行き調べてもらうとガンが消えていたのです。
膀胱ガンや前立腺ガンでなければ父のような事は起きなかったかもしれませんが、ガンはすぐに死ぬ病気ではありません。
私も何冊か本を読んでいますが、ガンが見つかったからといってすぐに臓器を切る方が体に悪いです。
私は子宮頸ガンの手術をしていますが、ほんのちょっと切除しただけでも3年くらいは体調が悪く、本当に大変でした。
ガンになった場合、特に両親世代がガンになった場合、治療をするより何もしない方が長く生きる人もいるという事です。
もし父があの時膀胱を全摘出していたら、どれだけ大変だった事でしょう。
父のプライドは傷つき、日常生活も今までよりずっと不便。
父は退職してこれから旅行にでもと思っていた時だったので、体にオシッコのパックをぶら提げて旅行なんてまっぴらだ!と思ったのでしょう。
たとえ医師という職業の人が自分より収入があり、社会的地位の高い人であっても、その人が自分にとって最善の選択をしてくれるとも限りません。
みんな先生と言って神様級の尊敬をし、医師の言いなりです。
最後は自分で決断するという事が大切だと思います。
父の事を称賛するわけではありません。
元々嫌いでしたから。
どうでもよかったから「父さんの好きなようにしな」と言えたのかもしれません。
親不孝な娘です。
今あちこち旅行を楽しみ生き生きとしている父。
このまま超健康で私に構う暇もないくらい忙しくしていて欲しいです。